【基礎編8】 三次元測定での座標系の作り方

三次元測定を行う上で基本的な面、円、線などの要素の説明をしてきました。
次は、各要素を使用して、三次元の座標系を作っていきたいと思います。

三次元座標系とは?

簡単に言うと、X,Y,Zの座標系を測定対象物に作ることです。

三次元座標系を作る際の考え方

測定した要素にX,Y,Zの軸を1つずつ指定します。(実際には2軸のみ)
実際の考え方としては、機械を中心に考えるのではなく、測定対象物を中心に考えますが、まずは機械を中心にイメージしてみてください。

三次元座標系を作る前の状態とは?

機械には絶対に変わることがない座標系である機械座標が最初からあります。
この段階だと、機械は測定物がどこにあるのかわからない状態です。

Z軸の設定(基準面の設定)

測定物から4点測定して面を作成します。
作成した面には面直に法線ができます。
この法線をZ軸に設定します。(この作業を面補正とも言います)

Z軸を設定してあげることで、測定物の傾きが決まります。

例えば、実際には測定物が傾いて置かれていたとしても、ソフト上では下図のようにまっすぐと置かれた状態になります。
(ソフト上では測定物に対して、機械が回転して、測定物がまっすぐになるようにしています)

Z軸を決めた状態とは?

Z軸を決めただけの状態では、傾きは決まっていますが、
手前、右から見た際に機械に対して、どこの場所に置いてあるのか?

上から見た際に機械に対して、どこの場所に置いてあるのか?傾きはどうなっているのか?
ソフト上ではわかっていない状態です。

下図のようにZ軸のみ決まった状態です。

軸の設定(X軸)

次に上から見た際の傾きを合わせてあげるために、軸の設定を行います。
一般的にX軸で設定することが多いですが、Y軸でも設定は可能です。

測定物から2点測定して線を作ります。
※注意点として、以下の点があります。詳しく知りたい場合はクリックして確認してください。
線には向きがある
線の投影

この線をX軸に設定します。(この作業を軸補正とも言います)

Z軸とX軸を決めた状態とは?

上から見た際に機械に対して、まっすぐになっています。
これは、X軸を決めたことで上から見た際の傾きがわかったためです。

Y軸はX軸に対して必ず90度となるため、Z軸とX軸を設定したらY軸も決まります。
(Y軸が必ず90度となる理由は【基礎編9】で詳しく説明しています)

ただし、まだ測定物がどこの位置に置かれているかがわかっていない状態です。
下図のように、傾きは決まったが、どこの場所でも可能性としてある状態です。

原点の設定(X0,Y0,Z0)

次にどこの場所に置いてあるのかを教えるために、原点の設定を行います。
今回は1つの点を使用して、X0,Y0,Z0の位置を設定する場合で説明します。

2つの線を作成し、その線の交点を作ります。
その交点を原点に設定します。
原点にするということは、交点の位置が(X0,Y0,Z0)の状態になります。

Z軸とX軸と原点を決めた状態とは?

Z軸、X軸、原点を設定したことで、機械(ソフト上)では測定物の位置と傾きが把握できました。
ここまでが座標系の作成の方法となります。

座標系の作成は様々な方法がありますが、基本的に設定する要素としては上記と同じとなります。

座標系を設定したことで、これからやっと本格的な測定に入っていくことができます。

2022年07月23日

«【基礎編7】 三次元測定での投影の考え方
【基礎編9】 三次元測定の座標系作成時のポイント»