1、レーザートラッカーの測定原理 三次元測定機との比較
製造業の現場では、一般的に据付式の三次元測定機を使用することが多いです。
今回は三次元測定機とレーザートラッカーを比較して、測定方法などを解説していこうと思います。
三次元測定機とは?
三次元測定機はテーブルの上に測定物を乗せて測定を行います。
先端の部品を取り換えることで、接触式と非接触式の両方を行うことができます。
コントローラーを操作して手動で測定と座標値などを入力して自動で測定を行うことができます。
・測定方法
測定物に先端のプローブを接触させて測定を行います。
また、プログラムを組むことも可能なため、一度プログラムを作ってしまえば、同じ製品の場合はリピートでプログラムを流すことで測定時間が非常に短縮できます。
・測定範囲
三次元測定機にはストロークが機種毎に決まっており、弊社の所有している三次元測定機はミツトヨ社製の三次元測定機ではX900 Y100 Z800のストロークとなります。
・精度
三次元測定機は精度が非常にいいのが特徴で±0.002程度と言われております。
レーザートラッカーとは?
レーザートラッカーは三次元測定機と違い、本体と測定球(三次元測定機で言うプローブ)が離れているため、測定球にレーザーさえ届けば測定範囲は最大80m近く測定することも可能です。
そのため、測定物が大きい、移動できないなど、三次元測定機に乗らないような大きな物を測定することが多いです。
その場合、レーザートラッカーを測定物のところまで持って行き、測定を行います。
現地で測定を行えるのがレーザートラッカーの一番の特徴となります。
・測定方法
基本的にはSMRと言われる測定球を手で持ち、SMRを測定物に接触させることで測定を行います。
レーザートラッカーからレーザーが出ており、SMRでレーザーをキャッチすることで、レーザートラッカーは自分がどこにいるかがわかり、点を測定することができます。
・測定範囲
最大80ⅿ程度測定ができると言われておりますが、環境やSMRの状態にもよるため、もう少し短い距離になると思います。
弊社では50ⅿ程度までは測定を行った実績があります。
また、レーザートラッカーはベストフィットという方法を使用することで、レーザートラッカーを移動しても同じ座標のまま測定を行うことができるため、実質測定範囲は無限となります。
・精度
レーザートラッカーの場合はレーザートラッカーとSMRまでの距離に応じて精度が変わります。
2ⅿまでの距離で±0.02と言われており、三次元測定機に比べると精度は劣りますが、三次元測定機に乗らないような大きい物の測定では、現在ある測定機の中で最も精度がいいです。
精度については、レーザートラッカーの詳細ページをご覧ください。
まとめ
三次元測定機とレーザートラッカーはお互いにメリット・デメリットがあるので、測定物や環境に応じて使い分ける必要があります。
まず、三次元測定機に乗るような製品であれば、三次元測定機を活用した方がいいです。
やはり、三次元測定機の一番のメリットは精度が良く、非常に安定しているという点です。
ただし、三次元測定機は制限が多く、測定機に乗らないなど三次元測定機が活用できない場面もあります。
その場合はレーザートラッカーを活用するといいでしょう。
目で見えない(レーザーが届かない)場合以外は、基本的にはレーザートラッカーは測定が可能です。
そのため、今まで測定できないと思っていた製品や環境でも測定ができてしまうという点でレーザートラッカーは非常に優秀です。
2022年07月25日