2、レーザートラッカーでは同じ座標系のまま測定器の移動が可能!

レーザートラッカーでの測定はレーザーを遮ってしまうと測定ができません。
大物の場合、1方向から全ての測定ができない場合があります。
その場合はレーザートラッカーを移動させて測定を行うことがあります。
今回は同じ座標系のまま、レーザートラッカーを移動させて測定を行う方法の解説していこうと思います。

移動前に行うこと
レーザートラッカーの移動前に行うこととして、以下の作業があります。
・座標系を作る
 レーザートラッカーがある位置で測定物を測定し、座標系(X,Y,Z)を作ります。

・ベストフィット用点を測定する
 レーザートラッカーを移動した後からも測定できる位置で、最低3点の点を測定しておきます。

移動後に行うこと
レーザートラッカーの移動後に行うこととして、以下の作業があります。
・ベストフィット用点を測定する
 移動前に測定したベストフィット用点を測定する。
 ソフトによっては、移動前に測定した点の名称と順番も合わせる必要があります。

・ベストフィットを行う
 移動前、移動後に測定したベストフィット用点をベストフィットで合わせる。

ベストフィット用点測定のイメージ
レーザートラッカー移動後も位置が変わらない箇所で点を測定しましょう。

ベストフィットのイメージ
レーザートラッカーを移動しても、測定した点の位置関係は変わりません。
そのため、移動前に測定した点と移動後に測定した点を合わせてあげることで、移動後も同じ座標系を認識できます。

ベストフィットの注意点
ベストフィットを行うことで、測定物の裏も測定ができるなどのメリットがある反面、ベストフィットの際の誤差も発生します。
今までの経験から言うと、0.03~0.05程度は誤差が出てしまうことが多いです。
そのため、移動前に測定した要素と移動後に測定した要素の評価の場合は注意しないといけません。

また、弊社で測定した事例で、約100ⅿある工場内に設備を設置していく際に、工場内の柱に移動用の点を設置して、頻繁にレーザートラッカーを移動させながら測定を行うことがありました。
数分単位であればさほど問題ありませんが、移動前と移動後の点を測定するのが数時間、数日経ってしまうと、かなり誤差が出る場合もあります。

そのため、できる限り移動しなくても1回で測定できる位置にレーザートラッカーを設置して測定を行うことが、精度良く測定する上で非常に重要になります。

2022年07月26日

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