3、レーザートラッカーで大物測定を行う際の注意点

大物を測定する際の注意点としていくつかあります。
小さい物を測定する際でも同じ点に注意しないといけませんが、大物の場合はより注意しないと測定結果に大きな影響を及ぼしてしまいます。

大物測定の注意点
・熱膨張
小さい物でも熱膨張の影響は発生しますが、大物の場合は特に影響します。
アルミの熱膨張が高く、1℃温度があがると1ⅿで0.024㎜程度変化します。
特に大物測定の場合は恒温室で温度管理できないことが多く、温度の変化が寸法に直結することが多いです。
その中で最も怖いのが、測定中の温度変化です。
レーザートラッカーでも温度補正を行うことができるので、測定開始時に補正を掛けますが、測定中に温度が変わってしまうと補正ができなくなってしまいます。
そのため、お客様と相談して、できる限り温度変化が起きにくい、夜中に測定をさせて頂く場合もあります。

・反り(歪み)
小さい物より大きい物の加工ではより反りが発生しやすくなります。
そのため、どのように測定するかで測定結果は変わってしまいます。
ただ、測定を行えばいいというわけではなく、製品がどのようになっているかも伝えるのが測定業務だと思っています。
そのため、弊社では状況に応じてではありますが、測定点数を増やして面を作るのではなく、できる限り端の方で大きな平面を作り、中心に向かってどういう傾向になっているかを評価したりします。
そうすることで、平面の傾向を掴め、お客様が加工方法の検討ができたこともあります。

・基準
平面・軸などの基準をどこにするかで、それ以降の測定結果が変わってきてしまいます。
そのため、平面の基準にする面の平面度はしっかりと出ているか?などにも気を付けないといけません。
大きくなると、どの面でも平面度がしっかりと出ていない場合もあります。
その場合は、お客様と相談して、どこを基準にするか、そのまま測定を行うのかを相談する必要があります。

・思い込み
恐らく、大物測定で最も気を付けないといけないのが、思い込みです。
小さい物の測定よりも、より基準や測定方法、評価方法、環境要因などを気を付けないと測定結果が変わってしまいます。
測定の怖いところは、測定結果が出てしまう点です。
間違った評価方法を行っても、測定結果が出てしまいます。
また、公差に入っているから問題ないと思ってしまいます。
全てに対して、疑問に思い、この評価方法が正しいのか?などを常に考えて測定することが最も大事です。

2022年07月26日

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